「闇の喇叭」「真夜中の探偵」発売になりました!

 うふふふふ、「闇の喇叭」「真夜中の探偵」発売記念サイン会、整理券予約出来ました!
 やったねー、これで一安心です。
 (でも一番の不安は当日西村さんがへろへろなのではないかと言うこと)

 受付が10時からと言うことでジャストに電話攻勢を掛けたのですが、代表が自動受付になっていて、一旦電話が繋がった後「混雑しております」とアナウンスが流れて、切れてしまう。
 ただ繋がりにくいだけならともかく(繋がりにくくもありましたよ!)繋がってから強制的に切れるって、一体電話代いくら払わせる気だよ!!
 結局、30分以上掛かって、10回以上切られた感じ。
 そして整理券80番台でした。あぶねー
 でもさっき「紀伊國屋書店」のサイトを確認したら、50枚追加になってました。さすが講談社と有栖川先生。

 しかし紀伊國屋さんは有栖川先生の人気を知っているのだから、最初から150枚で依頼したり、自動受付ではなくイベント担当直電話にしたりすべきではなかろうか。
 有栖川ファンの多さを甘く観ちゃいけませんよ(笑)  続きを読む>>

カトリーヌ・アルレー週間。

 たまには本の話など。

 ここの所、カトリーヌ・アルレーを読んでました。
 前に「黒頭巾の孤島」をたまたま読んで、面白いと思ってた作家。
 夏休みだったかな?、某書店に行ったら、古書の絶版本コーナーみたいのが展開されてて、しかも3冊買ったら1冊タダ!とかいうのだったので・・・つい・・・
 最初はE.S.ガードナーの「ペリー・メイスン」シリーズを買おうかと思ったのだけど、文庫のみでポケミスは無くて。東京創元推理文庫のガードナーを見てたら、アルレーが目に入りまして・・・
 並んでいたのが4冊だけだったので、その4冊を手にしました。
 「犯罪は王侯の楽しみ」「地獄でなぜ悪い」「共犯同盟」「アラーム!」この順番で読んでいて、今日「アラーム!」読み終わった。

 悪女を書くのが上手いと言われているらしいのですが、悪女というよりはこの人の書く悪い奴は自分自身の欲望に忠実なだけの気がする。そして悪い奴はそれ相応の報いを何らかの形で受けるのが、良いところかも。
 ちなみに読み終わった中で一番酷い終わり方は「共犯同盟」
 嫌な奴でもその終わり方は・・・(苦笑)
 面白かったのは「地獄でなぜ悪い」
 脱獄犯に主人公もその婚約者(男)も惹かれまくってしまうところとか、変な三角関係っぽくて良いです(謎)
 悪い奴が逃げおおせる「犯罪は王侯の楽しみ」はまあ良くあるオチ。だけど途中経過が最後に生きて来るので、なるほどなあって納得出来ます。
 それは他の作品でも、こまごました動きがちゃんと納得できるところに繋がっていくところが良い。伏線とまではいかないけど、不要な動きを実はさせてないところが良い。
 あと、話への引き込み方が秀逸だと思います。
 どれも読み始めて、2,3ページ目くらいでもう事件が始まるの。だらだら状況を説明するより先に事件に巻き込まれていくので、気が付くとかなり読み進めてる。
 最近の有栖川先生の本は、長編でなかなか事件が起きないから、少し見習って欲しいくらい(笑) 続きを読む>>

再読中、あれこれ。

 3月は再読月間と勝手に決めて、久しぶりに読み返しなんぞしてました。で、今も継続中。

 まずは「双頭の悪魔」
 その前に「女王国の城」を再読したら、読みたくなっちゃったんだよ~
 やっぱり面白いし、良いなあ。
 前はアリスや江神さんばかり追って見てたけど、今はマリアがすごく好き。
 ミステリでごく普通の女の子ってなかなか描かれない。特殊能力があったり、ちょっと変わった子だったり、すごいお嬢様だったり、そういう子ばかり。
 でもマリアは本当に普通の子で、表面的には何不自由なくても心の中では自分の嫌な面にぐずぐず言ってたりする。自分も含め、コンプレックスと言えるものって、他人からしたら他愛なく全然気にならないものなのに、それでも苦しんでたりする。
 そういうところがとても愛おしい。
 勿論アリスも変わらず好きだけど(いや、西村さんが溺愛しているのは「火村シリーズ」のアリスなんだけどさ)マリアと同じで人間臭いところが好きになって来てる。
 マリアに好きな人が出来たかのかも、と考えて胸に小さな痛みを感じ、その感情を打ち消そうとするところとか、良いなって思う。間にあるのは友情だと思ってても、やっぱりちょっとちくっとすることってあるある!
 元々文章は上手い有栖川先生だけど、そういうごく普通の感覚を小説に盛り込むのが巧みだな、と改めて思ったのでした。なかなかミステリでこういう人は少ないと思う。 続きを読む>>

「闇の喇叭」東京サイン会。

 Googleで「闇の喇叭」で検索すると、かなり上位に購入直後の「独り言」が来るようになった西村さんです。
 大変ありがたいことです。これで「気になるけど読んでみようかな」と思ってる人の背中を押したり出来たら良いのですが。
 ネットに於ける西村さんの目標は始めた当初と全く変わらず、「有栖川先生のファンを1人でも多く増やす」ことと「有栖川先生の素晴らしさを伝える」ことです。その割に放置してるサイト・・・(存在はしてますよ)
 しかしYahoo!だと全然出て来ないね。どうでもいいけど(自分はYahoo!使わないから)

 それはさておき、サイン会行って来ました。サイン会のまとめは別途書くので自分の記憶記録用。
 いやー、暑かった!
 昼過ぎに家を出て、頼まれていたかりんとうを東京駅の地下で買ってから、銀座に出て「銀座文明堂」「銀座壷焼発酵バターカステラ」を購入。「壺焼バターカステラ」は思ったよりずっと小さく、1個1人分て感じ(でも壺だから重たい)日持ちがしないので有栖川先生へのお持たせには出来ませんでした(残念)
 履いていた草履の鼻緒が革製の細い物だったのでちょっと足が痛く、これは夜まで頑張れなさそう!ということで急遽「ニューメルサ」内の「銀座ぜん屋」さんで鼻緒を取り替えて貰いました(ちなみに「銀座文明堂 傳匠」さんはニューメルサの1F部分にある。正式住所の「中村積善会ビル」だと地図出てこないし)
 お値段がちょっと高かったので迷ったけど、結局8,400円もする印伝のにしました・・・夏らしく麻のにするか迷ったけど、着てたのが黒の小紋だったのでこっちの方が良いかなーと。
 鼻緒をすげて下さったのがすぐ側の本店から来てくれた、ネクタイを締めた若い方だったので心配したけど、履いている草履へのすげ替えだったし自分の要望をキッチリ伝えたので一発でバッチリでした。
 いやー、やっぱり鼻緒の幅が広いのをちゃんとすげて貰うと楽だわー(履いていたのはすげてあるのを購入し、自分で鼻緒を緩めただけ)おかげで夜までどうにか頑張れました。

 全く関係ないけど、西村さんと時を同じくしてセレブっぽい女の人が下駄を見に寄って、色々質問して購入を決めていた。西村さんが先にすげ始めて貰ってしまったので、30分くらい掛かると言われ、その女性は「下でお茶飲んでくる」と捨て台詞のように言い、さらに店員さんに(取り置きのために)名前を聞かれて自分の名字だけを捨てるように告げていった・・・「西村です」のです、も無いんだよ。「西村!」って感じで・・・何だろ、イメージとしては結婚して自分の名字という感じがしていない風?最初はそうでもなかったけど、他人に名前を聞かれて自分の名字をそんな風に名乗ったことないよ・・・ちょっと怖かった(笑) 続きを読む>>

「闇の喇叭」の素晴らしさを語る。

 まだ「闇の喇叭」の話、しますよ!

 既に書いたけど、この世界観なら普通の小説で終わってしまうところ、あくまでもミステリを貫き通すのが凄い。
 短、中編ならともかく、長編でその背景(特に歴史)がしっかり作り込んであればあるほど作者はそこに入れ込むし、作った世界をくまなく見せたいと思いがち。
 まー、面白いもんね、設定作るのって。だから設定だけ作って話を書かないアマチュア作家がたくさん居る訳だけど。
 半分は現実の世界、半分は創作の世界。
 ファンタジーのように逐一世界を説明する必要もなく、かといって説明がなければその世界の異様さは判りづらい。
 虚実のバランスが実に巧み。
 普通であればもっと独自の世界を構築したくなるはずなのに、日本が二つに分断されていること、探偵行為が禁じられていること、その他いくつかの差異だけに終止している。
 それ故に、読者に自然と現実を照らし合わせさせ、異様さが際立つようになる。

 有栖川先生の持ち味の一つに、ミステリ作家としては希有な文章の上手さがあります。
 ミスリードの仕掛け方が巧みであるというのは当然だけど、単純に文章が美しい。
 サクサク読める文章でありながら、流暢。
 以前はライトな小説だったが、最近は文学作品の様相を呈していると思う。
 特に語彙の豊富さには舌を巻きます。一冊に一回は生まれて初めて目にした単語が必ず出てくる。
 少し硬質で、少し悲哀を帯びている文章が世界観そのままで、読み始めてすぐに引き込まれます。

 それ故に終章は胸を捕まれたような気持ちになる。
 なんと美しく、なんと悲しい。しかしその世界は終わりではなく、探偵が開けた穴は始まりの扉。
 そう考えてみるとラストの文章は薄暗くはなく、むしろ暖かく柔らかな光を帯びているように感じる。
 そしてそれは作家本人の優しい眼差しそのものなのだろう。
 ミステリは決して犯人が捕まって終わる物語ではない。世界をリ・スタートさせる手段なのだ。 続きを読む>>

「闇の喇叭」はタイトルが深い。

 「闇の喇叭」読み終えました。
 ホントはもう1,2日掛けて読むつもりだったけど、止まらなくて後半一息に読んじゃった。勿体ない気もしたけど、無理だった(苦笑)
 おかげで寝不足。

 物語の舞台となる世界は昨日書いた通り。 
主人公たち高校生3人が住む村で、身元不明の男性の死体が発見される。
 そしてそれから数日、村内でも変わり者と有名な伊敷紀彦が崖の下で遺体となって発見された。
 男性は何者なのか。二つの事件は同一犯による物なのか?
 舞台が特殊なので、普通であればただの青春小説として終わりそうなところ、そこはやはり有栖川先生。しっかり本格ミステリでした。
 いやあ、そう来たか。
 詳しくは書けませんが、この舞台であるからこそ成立するトリックです。

 ここからはちょっとネタバレ気味ですが。 続きを読む>>

名作です「闇の喇叭」

 やっほう!「闇の喇叭」出ました。
 昨日仕事帰りに書店に寄り、一目散に売り場へ。
 コンタクト入れてても運転出来るギリギリの視力しかないのに、5メートルくらい離れたところからでも判別出来るのは特殊能力だと思います。いやいや、既刊なら10メートル離れても、書名が見えなくても絶対判別出来るよ!
 それはさておき、他の売り場も一応ぐるっと見たけど、欲しい本もないのでさっさと購入して帰宅。
 途中、Webで見た書影だけで「闇の喇叭」だと判断して購入したけど、タイトルも著者名もちゃんと確認してないという事に気付く。これで違う本買ってたら笑う、と心配になって確認したけど、合ってました(笑)

 「闇の喇叭」は戦争により北海道がロシアの占領下に置かれ、日本が二つの国に別れてしまった世界。
 嫌米感情によりカタカナの使用が減り、方言は使用が禁止され、一般人による探偵行為も禁止、推理小説も弾圧された世界。
 北海道を「北」と呼び、憎しみ合う二つの日本。
 物語はそんな時代の田舎の高校生3人が主人公。
 まだ途中までしか読んでいないので、全体的な出来がどんなかは判りませんが、それぞれに国や社会、生活や未来に逼迫感や違和感を感じているところが、最近の有栖川先生の筆の感じと相まって、良く書けていると思う(偉そう)

 日本が二つに分断されるというパラレル世界の話を書いてはいるけれど、これってたぶん実際の朝鮮半島のことでもあるんだな。
 本来は一つの国のはずが教育や政府、他国のせいで憎しみ合う。相手から国を守るため徴兵制を取り、歴史を学ぶという名目で偏った歴史感を与えられ、異常な諸国への憎悪もしくは自国を忌避するようになる。
 読んでいてそう言うのって辛いなあ、と思った。
 最近、ホンモノの日本でもそう言う雰囲気が強い気がする。ネットが普及したせいか、情報の取捨選択の幅が広がった。色んな考え方が出てくるのは仕方ないし、議論するのは良いと思う。でも、偏った考え方で隣国の全てを叩いたり、過ちの歴史を無かったと言い切ってしまうのは何かが違う。
 問題が多い国でも個人個人には良いところがあるのを知ってるし、世界が認めている歴史が全くの嘘だというのも無理がある(真実を誇張されているのかもしれないけれど)
 自分にとって都合の良い歴史だけを選択することが情報の取捨選択ではないし、歴史を学ぶと言うことでもないと思う。
 蹂躙される歴史や分断されて争わされる現実、弾圧される芸術や言語。この小説はそれらを自分の身に起きることとして感じさせてくれる。
 是非読んで貰いたい。
 名作の気配あり、です。

【追記】 読み終わって名作だとハッキリ言えるようになったので、タイトル改変しました(笑) 続きを読む>>

「闇の喇叭」発売2日前。

 何か書こうと思ったことが昨日辺りあった気がしますが、忘れました(おい)

 あ、たった今、サイン会の整理券の予約しました。
 理論社の若年層向けシリーズ<ミステリーYA!」>から6月22日に刊行される有栖川先生の新作、「闇の喇叭」のサイン会。
 7月に六本木でトークショートサイン会があるようで・・・しかも海の日過ぎの夏休み前。平日なんですが、まあ行けるでしょう!つか無理矢理仕事休んでも行く!
 気になるのが時間で、19時からなんですが・・・微妙に遅い。
 暑いだろうけど、まあ頑張って行ってこようと思います。

 ちなみにこの「闇の喇叭」勿論書き下ろしで、有栖川先生自身、気に入っているようなので大変楽しみです。 続きを読む>>

文庫版「レディ・ジョーカー」読了

 昨夜、ようやく文庫版「レディ・ジョーカー」上・中・下巻を読了。
 予想以上に時間が掛かってしまいました(布団の中で読んでたから仕方ない)
 
大手ビール会社「日の出ビール」の社長城山が誘拐され、ビールを人質に身代金を要求される。
 開放された城山と犯人が裏取引を行っていると考えた警察は、身辺警護を理由に合田雄一郎を鞄持ちとして「日の出ビール」に送り込む。
 一方、事件の取材を通して兜町が絡んでいることを掴んだ東邦新聞の根来は、以前轢き逃げに会った時と同じ筋が絡んでいることに気付く。

 うーん。
 要するに誘拐されたビール会社の社長と、身代金を奪おうとする犯人とその犯人を追う警察とそれを取り巻く新聞記者と、なんかその辺が絡まった社会派な小説です(たぶん)
 単行本で読んだ時はそんなに複雑だとも思わなかったのだけれど、今回読んだらなんか難しかったです。改稿されたせいなのか、脳が退化したせいなのか(笑)←たぶん後者。
 でもやっぱり面白かった。
 思ってたより半田くんがおかしな人じゃなかったけど。合田の方がストーカーだったのね。
 この小説を読み込んでいる人には全然違う物語に見えるようですが、あらすじすらおぼろげな西村さんにはどこが変わったかも解らない。ハッキリ変わってると解るのは、ラストの目覚めた後の合田のところくらいだ・・・

 加筆修正どころか全面的に改稿するというのは賛否両論あるでしょうが、西村さんは賛成です。作者がその時書ける最高の物を提供しようとしているのであれば。
 「レディ・ジョーカー」に至ってはあらすじやラストに変更がある訳じゃないし・・・やっぱり城山社長は生き残って欲しかったけど。
 「李歐」なんか完全に別の本だったもんね(だからタイトルも変えたのだろうけど)アレには流石に驚きましたが。

 で、これ以後は腐女子目線で(笑) 続きを読む>>

「菊籬」と「陽暉楼」が切ない。

 何というか、色々書いておきたいことはあるんですが、どれから書いて良いか判らない・・・
 今一番書いておきたいのはKREVAではなく、またしても宮尾登美子(笑)

 少し前から「菊籬」を読んでいて、この小旅行(と言う程でもない)中に読み終えました。
 短編集で、宮尾登美子の自伝的なものが何編か収録されていて、それを目当てで読んだのだけど、結局記憶に残ったのは一番最初の「彫物」
 芸妓の幸代が自分の肌の黒さ、体毛の濃さという体のコンプレックスと男運の悪さを断ち切るために背中に刺青を入れようと決心する。
 最初は、女は結婚や出産でいずれ刺青を後悔するから彫らない、という彫師に、「男を絶った、子供を産むことも諦めたから男と同じ」と啖呵を切ったけれど、毎週背中を預けているうちに心打ち解けていく。と、どうしても次第に惹かれてくる。
 ついに彫物が仕上がる日、妹の昌代がそれを見についてくるが、会ってすぐに彫師が「彫ってみないか?」と熱心に話し掛けるのに不安になる。
 後日、昌代がどうやら彫師の元に通っていることを知り、負けてなるものか、と今度は背中から陰部に掛けて、繋がった模様を彫って貰うことにする…
 で、そのオチに、とにかくやり切れない気持ちになってしまった。
 うわあ、これは悲しいなあ。
 相手が血が繋がっていないならともかく(話の中では繋がっていないかもしれない、という疑いもある)妹という存在に自分の好きになった人を取られる、というのがとにかく悲しい。
 器量は自分の方が良くても、色の白さというコンプレックスを倍増させている相手である、というのも切ない。

 宮尾登美子は妹が居る訳ではないのに、これは流石だな、と思った。 続きを読む>>