大混雑「若冲展」に行ってきたよ。

 上野の東京都美術館で24日まで開催していた「若冲展」に行って来ました。
 ネットやテレビでご存じの方もいるかもしれませんが、とても、とっても混んでました。
 どのくらい混んでるかというと、11時過ぎに並んだ時の待ち時間、240分。
 240分て4時間ですよ、4時間!
 実際はそこまで待たず・・・とはいえ、3時間半。その間ずっと立ちっぱなしの並びっぱなし。
 上野公演内なので木陰があって涼しく、また午前中は気温がさほど高くなかったので辛くはなかったのですが。
 西村さんにしては珍しく、人と一緒だったのでそれも幸いでした。
 昨年、マグリット展にも一緒に行った、東京支社のH野さんとS野さんと他愛のないおしゃべりをして、交代でトイレなどにも行けましたが、これ一人だったら辛い!
 列の途中に給水所が設置され、医療スタッフが定期的に巡回するくらいには過酷。
 西村さんたちが行った翌日は平日にもかかわらず、さらに列は長かったようです。そして、シルバーデーという65歳以上が無料の日には、なんと、ななんと、なななんと、340分待ちが出たようです!!5時間半!!!
 あまりに盛況で、各種プレイガイドで販売していた当日券も最終週を前に販売終了で、どうしても観たければ当日美術館の窓口でしか買えなくなったり(しかもここでも別に並ぶ)
 美術館側もこの混雑は予想してなかったようで、行った時には図録が売り切れてた・・・送料無料で配達してくれるというので予約してきましたが。

 でも、それだけ待ったとしてもやはり観る価値はありました。
 凄い。やっぱり伊藤若冲凄い。
 絹地に有彩色のものはどこまでも精密に、水墨画は勢いと繊細さが同居して一瞬を書き留めたかのよう。
 見どころはやはり「釈迦三尊図」と「動植綵絵」三十幅の展示。
 10年でこれを描き上げたということは、一幅4ヶ月くらいの速度だったはず。人間の集中力でこんなものが描けるのが信じられない。宇宙人だったんじゃないか。
 さらにプライスコレクションから「鳥獣花木図屏風」
 福島に観に行った時は少しケースから展示が遠く観辛かったのですが、今回は少し近めでわりとよく観えました。
 西福寺の「仙人掌群鶏図」、「蓮池図襖絵」、京都国立博物館の「果蔬涅槃図」、鹿苑寺「大書院障壁画」、MIHO MUSEUM「象鯨図屏風」・・・その他有名な作品が書ききれないほど集まっていて、本来ならそれ単体で美術展を開くようなのがこれでもか!と。
 個人的には佐野市立吉澤記念美術館の「菜蟲譜」が観られて良かった。毎年1回公開されているのだけど、いつも観に行くの忘れちゃうのよね・・・しかもなかなか貸出されない。
 実物を観られて良かったと思ったのは、これが原寸大で描かれていることが分かったから。筆遣いから楽しく描いたことが感じられました。
 おかげでそりゃあ混むよね、と納得出来ましたが、これらをゆっくり観られないのが辛かった・・・全部ざっと見て来たけど。
 またいつか、ゆっくり観ることが出来るといいな(「菜蟲譜」は今度こそ佐野に観に行くぞ) 続きを読む>>

KREVAの音楽劇「最高は一つじゃない2016 SAKURA」が最高だった。

 4月2、3日にKREVAの音楽劇「最高は一つじゃない2016 SAKURA」を観て来ました。
 書きたいことが多く、書いても書いてもキリがないので1か月以上経っちゃったよ・・・

 今回は場所をシアタークリエより少し広い東京芸術劇場に移しての公演です。
 理由は主役にNEWSの内くんを迎えているからです。
 おかげでチケットが取れなくなるんじゃ・・・と心配していましたが、そんなこともなく(苦笑)
 土曜日の昼夜と千秋楽である日曜日の計3公演を観劇。
 ここに来てようやく、初日も中日も観たかったな、と思うような「最高」の舞台に仕上がっていました。

 まず、ストーリー。
 前2回の内容は全部捨てて、全く関係のない話になりました。
 サブタイトルにも入っている通り、桜が関係しています。

 人々が桜木の下で楽しそうにしている。
 しかし、それを無感動に見つめるソメイヨシノ。
 自ら増えることのない木である自分に意味を見いだせないソメイヨシノに、意味はきっとあると話しかける男。
 そしてそんな二人を優しく見つめる女。
 彼らは意味を求めて複数の時代を旅に出る・・・

 とまあ、文章にしちゃうと解り辛いのですが、主役のソメイヨシノが内君で、謎の男がKREVAさん、謎の女性が小西真奈美さんです。
 3人とも桜の化身?実体化??ですが、その辺は細かい理屈なんかなく、そういう存在という扱い。
 だからと言って子供っぽい話にはならないのは、脚本の展開のさせ方によるものと、あとコニタンの存在か。
 あの可愛らしい人がRapを歌うというのが全然想像できなかったのですが、Rap・・・?これはRapなのか?韻を踏んでいるから定義上はRapだけど、元々のルーツからするとこれをRapと言っていいのか??というくらい、おそらくHIPHOP史上最高に上品で美しいRapでした。
 前回、前々回も歌は各出演者とも頑張っていたなー、という感想を抱いていましたが、今回はコニタンだけでなく、他の出演者の素晴らしいこと素晴らしいこと。
 増田有華さんは前回も出演されていて歌は良かったのですが、役柄的にちょっと残念と感じていて素直に好きだと思えませんでした。今回はコミカルな役と歌の上手さがアップしていて、凄いなと素直に思いました。
 彼女の歌の良さはその伸びやかなハモリですね。
 勿論KREVAさんが歌うのが至高だけれど、聴きながら、トリビュートアルバムもアリかも、と考えてました。
 そしてブラザー・トムさんの「OH YEAH」は全く、全く違う曲でした。えー、あれがこうなる!?
 HIPHOPではなく、ブルースみたい。
 あんなに弾けて楽しい歌が、とても切なく歌われました。
 トムさんがミュージシャンだということを思い出した(笑)

 トムさんは役者としてもカッコ良かったです。
 誰でも知ってる歴史上のあの人を、生き生きと演じてました。
 アドリブの多さが大変だったみたいだけれど(周りの出演者が)、たくさん笑わせて貰いました。
 今公演は台本が販売されていたため、どこまでが脚本かも知ることが出来るのですが、どんなアドリブをどこに挟むかは指定されていて、全部役者に丸投げではなく、また完全に決められた笑いではないからこそグダグダにはならず丁度いいバランスだったと思います。脚本家がそういうところも解っているので、本当に今までとは大違い。
 3つのエピソードを入れ込むという点では過去の公演と同じなのですが、3つとも時代物で皆衣装が和装でありながら、有名な歴史上の人物を主役にすることでそれぞれが混同されにくい。
 また、舞台装置は大きなセットは桜の幹のみでそれを真ん中と下手に移動させる以外は、最小限の茶店の傘と床机、あと後ろに襖が出現するくらい。簡単な装置だからこそ、各エピソードをそれぞれ複数回の転換を可能にしている。
 据えられた大階段を使用することで「桜」の面々が「人間」と同じ次元にはいないことを印象付け、また観客からも見えやすくしている。
 今回の脚本は前回までと違っていますが、おそらく出演者でもある馬場さんが大半を書いているのではないかと思っています。こんな良い人材が同じ事務所に所属しているとは・・・遅いよ!(笑)
 トムさんの役だけではなく、Mammy-Dの武田信玄も凄い良かった。
 キャラクターに緩急があって、笑えるところは笑えて、泣けるところは泣ける、はまり役だったと思います。
 あっという間に立派な役者になってしまったなー。何なら大河ドラマに出てもいいんじゃないかしら。そのくらいの演技でした。
 舞台初挑戦といえばAKLOですが、さすがにちょっと演技が硬かった。でもRAP部分はさすが!「基準」をキッチリ歌いこなしてました。ラッパーだからこそ、アレンジなしの他人のフロウは(言葉を切る場所が違うから)歌いにくかっただろうなあ。
 「基準」への導入として、KREVA(の演じる桜)とのフリースタイルバトルみたいな感じだったのですが、KREVAさんが「基準」のサウンドに「Dr.K」を載せていて格好良かったです(AKLOはアンサーとしてそのまま「基準」を歌った)
 でもいっそ本当に曲のリリックではなく、新しいRAPを2,3書き下ろして、もっと実際のフリースタイルバトルぽくしてしまったら面白かったんじゃないだろうか(大変だけど)
 でもそうなるとKREVAさんが勝っちゃうから、話の流れ的に問題か(笑)

 今回良かったと思えた大きな要因はやはり、KREVAさんの出演の多さと歌の多さがあります。
 他の出演者に被せたり、KREVAが歌い始めたのを他の出演者が引き継いだりする形でしたが、とても多くの楽曲を歌っていました。今までで一番多いんじゃないかな。
 そして前回までとほぼ被らない選曲には本当に驚いた。被っても構わないと思うけれど、あえて意識したのが解るくらい、本当に重複していません。
 それ故に、普段ライブでめったにやらないような曲も使われていて・・・感涙。
 始まって早々、大好きな「東西南北脳内回想録」が流れた時点で涙ちょっと出た。
 それから「リズム」も「runnin' runnin'」も本当に好きで、極めつけに「ma chrie」でコニタンがバレエを踊るという!!何この俺得!!!
 読んでる人にはさっぱりわからない、カオスな舞台に思えるでしょうけれど、これらが見事に1本の舞台に纏まっています。
 前回あれだけボロクソ書いていた西村さんがこれだけ褒めまくっていることからも、面白かったことを想像してください。
 本当に、本当に、演劇としても面白かったことが嬉しかった。
 エンターテイメントとしてだけでなく、演劇としてきちんと完成したことが嬉しかった。
 小さいことを上げたらもちろんもっと上の演劇を目指せるのかもしれないけれど、目指すのは「演劇」での最高ではなく、「KREVAの音楽劇」としての最高だとしたら、やっぱり今回の公演は最高だったと思います。
 もし再演があれば、是非観て下さい。KREVAファンだけでなく、Rap自体全然知らない人でも平気な舞台です。知ってる人はより楽しめる、本当に楽しく素敵な舞台です。
 そしてちょっと元気や勇気が出る、そんなストーリーです。 続きを読む>>