名作です「闇の喇叭」

 やっほう!「闇の喇叭」出ました。
 昨日仕事帰りに書店に寄り、一目散に売り場へ。
 コンタクト入れてても運転出来るギリギリの視力しかないのに、5メートルくらい離れたところからでも判別出来るのは特殊能力だと思います。いやいや、既刊なら10メートル離れても、書名が見えなくても絶対判別出来るよ!
 それはさておき、他の売り場も一応ぐるっと見たけど、欲しい本もないのでさっさと購入して帰宅。
 途中、Webで見た書影だけで「闇の喇叭」だと判断して購入したけど、タイトルも著者名もちゃんと確認してないという事に気付く。これで違う本買ってたら笑う、と心配になって確認したけど、合ってました(笑)

 「闇の喇叭」は戦争により北海道がロシアの占領下に置かれ、日本が二つの国に別れてしまった世界。
 嫌米感情によりカタカナの使用が減り、方言は使用が禁止され、一般人による探偵行為も禁止、推理小説も弾圧された世界。
 北海道を「北」と呼び、憎しみ合う二つの日本。
 物語はそんな時代の田舎の高校生3人が主人公。
 まだ途中までしか読んでいないので、全体的な出来がどんなかは判りませんが、それぞれに国や社会、生活や未来に逼迫感や違和感を感じているところが、最近の有栖川先生の筆の感じと相まって、良く書けていると思う(偉そう)

 日本が二つに分断されるというパラレル世界の話を書いてはいるけれど、これってたぶん実際の朝鮮半島のことでもあるんだな。
 本来は一つの国のはずが教育や政府、他国のせいで憎しみ合う。相手から国を守るため徴兵制を取り、歴史を学ぶという名目で偏った歴史感を与えられ、異常な諸国への憎悪もしくは自国を忌避するようになる。
 読んでいてそう言うのって辛いなあ、と思った。
 最近、ホンモノの日本でもそう言う雰囲気が強い気がする。ネットが普及したせいか、情報の取捨選択の幅が広がった。色んな考え方が出てくるのは仕方ないし、議論するのは良いと思う。でも、偏った考え方で隣国の全てを叩いたり、過ちの歴史を無かったと言い切ってしまうのは何かが違う。
 問題が多い国でも個人個人には良いところがあるのを知ってるし、世界が認めている歴史が全くの嘘だというのも無理がある(真実を誇張されているのかもしれないけれど)
 自分にとって都合の良い歴史だけを選択することが情報の取捨選択ではないし、歴史を学ぶと言うことでもないと思う。
 蹂躙される歴史や分断されて争わされる現実、弾圧される芸術や言語。この小説はそれらを自分の身に起きることとして感じさせてくれる。
 是非読んで貰いたい。
 名作の気配あり、です。

【追記】 読み終わって名作だとハッキリ言えるようになったので、タイトル改変しました(笑) 続きを読む>>