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KREVAの音楽劇「最高は一つじゃない2016 SAKURA」が最高だった。

 4月2、3日にKREVAの音楽劇「最高は一つじゃない2016 SAKURA」を観て来ました。
 書きたいことが多く、書いても書いてもキリがないので1か月以上経っちゃったよ・・・

 今回は場所をシアタークリエより少し広い東京芸術劇場に移しての公演です。
 理由は主役にNEWSの内くんを迎えているからです。
 おかげでチケットが取れなくなるんじゃ・・・と心配していましたが、そんなこともなく(苦笑)
 土曜日の昼夜と千秋楽である日曜日の計3公演を観劇。
 ここに来てようやく、初日も中日も観たかったな、と思うような「最高」の舞台に仕上がっていました。

 まず、ストーリー。
 前2回の内容は全部捨てて、全く関係のない話になりました。
 サブタイトルにも入っている通り、桜が関係しています。

 人々が桜木の下で楽しそうにしている。
 しかし、それを無感動に見つめるソメイヨシノ。
 自ら増えることのない木である自分に意味を見いだせないソメイヨシノに、意味はきっとあると話しかける男。
 そしてそんな二人を優しく見つめる女。
 彼らは意味を求めて複数の時代を旅に出る・・・

 とまあ、文章にしちゃうと解り辛いのですが、主役のソメイヨシノが内君で、謎の男がKREVAさん、謎の女性が小西真奈美さんです。
 3人とも桜の化身?実体化??ですが、その辺は細かい理屈なんかなく、そういう存在という扱い。
 だからと言って子供っぽい話にはならないのは、脚本の展開のさせ方によるものと、あとコニタンの存在か。
 あの可愛らしい人がRapを歌うというのが全然想像できなかったのですが、Rap・・・?これはRapなのか?韻を踏んでいるから定義上はRapだけど、元々のルーツからするとこれをRapと言っていいのか??というくらい、おそらくHIPHOP史上最高に上品で美しいRapでした。
 前回、前々回も歌は各出演者とも頑張っていたなー、という感想を抱いていましたが、今回はコニタンだけでなく、他の出演者の素晴らしいこと素晴らしいこと。
 増田有華さんは前回も出演されていて歌は良かったのですが、役柄的にちょっと残念と感じていて素直に好きだと思えませんでした。今回はコミカルな役と歌の上手さがアップしていて、凄いなと素直に思いました。
 彼女の歌の良さはその伸びやかなハモリですね。
 勿論KREVAさんが歌うのが至高だけれど、聴きながら、トリビュートアルバムもアリかも、と考えてました。
 そしてブラザー・トムさんの「OH YEAH」は全く、全く違う曲でした。えー、あれがこうなる!?
 HIPHOPではなく、ブルースみたい。
 あんなに弾けて楽しい歌が、とても切なく歌われました。
 トムさんがミュージシャンだということを思い出した(笑)

 トムさんは役者としてもカッコ良かったです。
 誰でも知ってる歴史上のあの人を、生き生きと演じてました。
 アドリブの多さが大変だったみたいだけれど(周りの出演者が)、たくさん笑わせて貰いました。
 今公演は台本が販売されていたため、どこまでが脚本かも知ることが出来るのですが、どんなアドリブをどこに挟むかは指定されていて、全部役者に丸投げではなく、また完全に決められた笑いではないからこそグダグダにはならず丁度いいバランスだったと思います。脚本家がそういうところも解っているので、本当に今までとは大違い。
 3つのエピソードを入れ込むという点では過去の公演と同じなのですが、3つとも時代物で皆衣装が和装でありながら、有名な歴史上の人物を主役にすることでそれぞれが混同されにくい。
 また、舞台装置は大きなセットは桜の幹のみでそれを真ん中と下手に移動させる以外は、最小限の茶店の傘と床机、あと後ろに襖が出現するくらい。簡単な装置だからこそ、各エピソードをそれぞれ複数回の転換を可能にしている。
 据えられた大階段を使用することで「桜」の面々が「人間」と同じ次元にはいないことを印象付け、また観客からも見えやすくしている。
 今回の脚本は前回までと違っていますが、おそらく出演者でもある馬場さんが大半を書いているのではないかと思っています。こんな良い人材が同じ事務所に所属しているとは・・・遅いよ!(笑)
 トムさんの役だけではなく、Mammy-Dの武田信玄も凄い良かった。
 キャラクターに緩急があって、笑えるところは笑えて、泣けるところは泣ける、はまり役だったと思います。
 あっという間に立派な役者になってしまったなー。何なら大河ドラマに出てもいいんじゃないかしら。そのくらいの演技でした。
 舞台初挑戦といえばAKLOですが、さすがにちょっと演技が硬かった。でもRAP部分はさすが!「基準」をキッチリ歌いこなしてました。ラッパーだからこそ、アレンジなしの他人のフロウは(言葉を切る場所が違うから)歌いにくかっただろうなあ。
 「基準」への導入として、KREVA(の演じる桜)とのフリースタイルバトルみたいな感じだったのですが、KREVAさんが「基準」のサウンドに「Dr.K」を載せていて格好良かったです(AKLOはアンサーとしてそのまま「基準」を歌った)
 でもいっそ本当に曲のリリックではなく、新しいRAPを2,3書き下ろして、もっと実際のフリースタイルバトルぽくしてしまったら面白かったんじゃないだろうか(大変だけど)
 でもそうなるとKREVAさんが勝っちゃうから、話の流れ的に問題か(笑)

 今回良かったと思えた大きな要因はやはり、KREVAさんの出演の多さと歌の多さがあります。
 他の出演者に被せたり、KREVAが歌い始めたのを他の出演者が引き継いだりする形でしたが、とても多くの楽曲を歌っていました。今までで一番多いんじゃないかな。
 そして前回までとほぼ被らない選曲には本当に驚いた。被っても構わないと思うけれど、あえて意識したのが解るくらい、本当に重複していません。
 それ故に、普段ライブでめったにやらないような曲も使われていて・・・感涙。
 始まって早々、大好きな「東西南北脳内回想録」が流れた時点で涙ちょっと出た。
 それから「リズム」も「runnin' runnin'」も本当に好きで、極めつけに「ma chrie」でコニタンがバレエを踊るという!!何この俺得!!!
 読んでる人にはさっぱりわからない、カオスな舞台に思えるでしょうけれど、これらが見事に1本の舞台に纏まっています。
 前回あれだけボロクソ書いていた西村さんがこれだけ褒めまくっていることからも、面白かったことを想像してください。
 本当に、本当に、演劇としても面白かったことが嬉しかった。
 エンターテイメントとしてだけでなく、演劇としてきちんと完成したことが嬉しかった。
 小さいことを上げたらもちろんもっと上の演劇を目指せるのかもしれないけれど、目指すのは「演劇」での最高ではなく、「KREVAの音楽劇」としての最高だとしたら、やっぱり今回の公演は最高だったと思います。
 もし再演があれば、是非観て下さい。KREVAファンだけでなく、Rap自体全然知らない人でも平気な舞台です。知ってる人はより楽しめる、本当に楽しく素敵な舞台です。
 そしてちょっと元気や勇気が出る、そんなストーリーです。

 さて、もっと詳しいネタバレになりますが、コニタンこと小西真奈美さん。
 もー、あの声とあの容姿でふんわり微笑んでるのが、全てを見通しているかのように透き通っていて、初見の時に彼女の役は此花咲耶姫かと思いました。実際は神代桜という設定。
 いや、もしかしたら物語には出て来ないけどそういう存在でもあるのかもしれない。
 彼女の顔も声もすんごい好きで、彼女がもし好きだと言ってくれるなら女の子でもいい!結婚する!!と思ってます(謎)
 閑話休題。
 で、KREVAさんが演じたのが大島桜さんなのですが、わざと彼を神代桜だと思わせるような描き方をされていて、ラストでそれがわかるので、意外な結末の物語。
 他にもトムさんの役も途中まで正体が明かされなかったりして、予想外にミステリ要素がある物語でした。
 なのでその部分が楽しめたし、結末を知っていると途中のセリフでどうやってミスリードしているかも楽しめたので、何度見ても面白かったのはそのせいかもしれません。

 1点だけ残念だったのは、トムさんの役の正体は近藤勇なのですが、その役は!KREVAさんにやって欲しかった!!7年位前のKREVAさんと近藤さんそっくり!だと思ってるから!!!せめて陣羽織を着て欲しかった!!!
 わかってるんですけどねー、KREVAさんを全体に渡って出すには近藤勇ではなく「桜」役である必要があること。
 時代が時代なので和装の登場人物が殆どですが、ソメイヨシノ(内君)、神代桜(コニタン)、大島桜(KREVAさん)は洋服の上に着物を羽織ってます。人間ではなく桜の木であるとそこで違いを表現しているのだと思います。
 なので正式な和装ではないけれど、着物好きとしては嬉しかった(この日も当然着物で行きました)いつかちゃんとした(どこまでをちゃんとした、と認めるかはともかく)着物で何かやって欲しいな。絶対似合うから(正月の書初めは今も正装ですが・笑)

 千秋楽はさすがにチケットがなかなか取れず、何とかGET出来たのが2階席後方でした。
 表情が見えるわけではないので、千秋楽を満席にしたいのと、舞台として物語を楽しめばいいや、くらいに思っていました。
 でも、2階席後方で良かった。
 今回も照明にはライブと同様にレーザーが多用されていて、通常の演劇とは少し違ったりするのですが、上からの照明が桜の花を模っていたのです。
 舞台の床を照らしているため前方に座っていると気付かず、後方の席から見た時だけそれが解る。2階席からだと、舞台装置の幹と合わさって、満開の桜の木を俯瞰しているように見えるのです。
 後方から見た時だけわかるというのが、本当は近い席でも見えて欲しく偶然の産物だったのか、それとも意図して後方席だから判るというものなのかはわかりませんが、何故セットが幹だけなのか、不思議に思っていたくらいなのでもしかしたら意図してなのかもしれない。
 これに気付くことが出来て本当に良かった。
 どの席のお客さんも同様に楽しませようとしている作り手の気持ちがわかったから。だから2階席の後方で良かったと本当に思いました。

 楽しませようという意味では、トムさんと熊井吾郎の掛け合い(?)も面白かったです。
 ライブと同じように舞台の隅でDJを最初から最後まで行っていた熊井さんは、ファンからしたそこにいて当然の人物ですが、知らない人からしたら何故音響の人がずっと舞台袖にいるのか?と不思議だったと思います。
 それを役者であるトムさんが「見えてるよ」と絡み、即興で音を出させることで、彼は音響係ではなくプレイヤーで、生で音を出しているのだと知ることが出来、またそのほんの少しのプレイで彼の凄さがわかる(これはライブでKREVAさんがよく使う手です)
 掛け合いをすることは当然台本で決まっていますが、その内容は本当に決まっていないらしく、トムさんの振りも熊のアンサーである音出しも回によって違っていて、正反対な二人の凸凹感が良かったです。
 前回の公演の時、Dさんのアドリブのぐずぐずさがむしろ良いと書きましたが、今回はきちんとした役でとてもしっかりとした演技をしていたので、その代わりの「素人らしいアドリブ」が唯一ここで垣間見えたかな、と思ってます。
 笑わせるというのはとても難しいことですが、作り込まれた笑いが今回とても多く、それと即興の笑い、さらにKREVAの音楽、そしてほんの少しのシリアスさが本当に上手く噛み合っていたと思う。
 大阪の大千秋楽を迎えて1か月経ちますが、今も公式ツイッターが裏話などをツイートし続けてる点も嬉しい。
 役者も、裏方も、みんな大事に思っている、それだけ良い芝居だったのだなと思ってます。

 またまた終わってからお見送りをしたのですが、2日の日は出て来たところで(柵越しで少々遠いが)お疲れ様と明日も頑張ってください、と声を掛けました。手を挙げて答えてくれたのですが、さらに「明日も観ます」と声を掛けたら「ありがとう」って返してくれた!
 翌日は千秋楽だったので出てくるのが遅く、さらに駐車場から乗り込んでいて、スモーク窓越しでしか見送れなかった~
 ちょっと残念でしたが、よく考えたら既に一度乾杯をしていて、それでファンに少しでもアルコールの入った姿を見せないためだったのかな、と思ってます。
 まあ、あくまでも「お見送り」ですからね。手を振って貰えるだけでも十分なのです。
 でもそれよりも、その日待ってた隣のお嬢さんたちが親切で、待ってる間に情報交換などして楽しかったです。
 舞台で使われた桜の花びら型の紙ふぶきも分けて貰ってしまった(嬉)
 いい出会いをありがとう。

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だって読めないもん・・・ごめんね。

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