「SUPERLOSERZ」を観てきたのよ。

 12,13とKREVAさんが出演している「SUPERLOSERZ(スーパールーザーズ)SAVE THE EARTH 負け犬は世界を救う」を観て来ました。
 演出は宮本亜門。東京での公演場所は新国立劇場の中劇場。
 なので、「最高はひとつじゃない」みたいなことにはならないだろうと安心してはいたけれど、KREVAの役どころが「ミスターX」って。(特別出演)って書き方も怪しすぎ。
 本当にチョイ役だったら観なくてもいいかなあ、と思ったのですが、たまにはちゃんとした商業演劇を観るのもいいかも、と考えて土日1公演ずつ、計2公演のチケットを取りました。
 期待してガッカリするのも嫌なので事前情報はほぼシャットアウト。そのためエンターテインメントであること、言語を使わないノン・バーバル・コミュニケーションの舞台であること、KREVAは重要な役どころでそれなりに出ていることだけ確認で、いざ当日。

 いやあ、面白かったです。
 ごめん、不安がって。

 サブタイトル通り、上手くいかない日々を重ねている主人公たちが宇宙人から地球を救うというすごく単純で安易なストーリーでしたが、言語を使わず表現するにはこのくらいで丁度良い。
 全編を通しカッコいいダンスで構成されていて、言葉が使われるのはKREVAのミスターXのRAPと登場するアイドルの歌のみ。
 ただ、それだと別に真新しくもないし、エンターテインメントとまではいかないので途中まで「こんなもんかなー」と首を傾げていたのですが、中盤になって登場する宇宙人のカッコいいことカッコいいこと!!
 今回舞台に出ていて、かつ振付も手掛けたYOKOIさんがリーダーを務める「WRECKING CREW ORCHESTRA」のELダンスが使われているのですが、クオリティの高さにぎゃふん!!!!でした。

 サイリウムみたいなELワイヤーを点滅させながら踊るんですが、ダンスの切れの良さと点滅のタイミングの絶妙さ。
 それにさらにプロジェクションマッピングをところどころ加えているので幻想的な部分もありつつ、客席通路でのパフォーマンスは近いが故の迫力もあって、瞬きが出来ないくらい釘付けになりました。
 一見ELワイヤーの演出の凄さに気を取られますが、よく見るとその衣装のデザインもシンプルながら凄い。
 頭に角のような突起を付けることで背を高く見せて威圧感を増し、手先は指まで覆うことで腕を長く見せている。人間より腕を長く見せることでアンバランスさが観客に不安を与え、かつ動きも肩を動かさない(チンパンジーのような)歩き方の演出でより「人間離れ」した宇宙人を描いていて、子どもだったら泣くだろうな、というちょっと怖い感じに仕上がっていた。
 闇の中で動き回って踊るパフォーマンスはたった9人なのに、その演出の仕方でとてもたくさんにも見える。
 新国立劇場という比較的新しく高機能な劇場で上演することでチケット代はそれなりの値段となったが、このパフォーマンスを行うにはきちんとした設備(外の光が漏れ入らないこと、ワイヤレスでELワイヤーの点滅が行えること、舞台全体をプロジェクションマッピングで覆える距離感があること等)が使用出来ることが必要だったのだと納得出来た。

 KREVAさんの役が必要だったかどうかですが・・・
 白いスーツの人間の目には見えない神様はまるで「最高はひとつじゃない」に出て来た白天使にそっくりで、同じように付け足しにも見える。
 でも、もしこの役が無かったら、ラストがどこでどう終わるべきか、きっかけが出せなかったのではないか。
 だからといって通常のセリフではこの舞台特有のテンポが途切れるが、RAPだからこそそのテンポを守りつつ、必要箇所で舞台転換させるきっかけを作ることが出来たのだと思う。
 また、観客目線に一番近い、物語を俯瞰した立場にあるからこそ必要最低限のRAP(普段のKREVAのRAPに比べると、比較的単純な言葉の羅列だったのも、RAPに親しみのない人でも聞き取れるような配慮と思われる)で登場人物の心中や状況を伝えることが出来る。
 そう考えるとミスターXはただの付け足しではなく、舞台を左右する狂言回し役なのだと言える。だからカーテンコールでは主役ではないはずのKREVAが何故か真ん中にいて、場を仕切っていたのだろう。
 舞台というのは不思議なもので、必ずしも主役が舞台を仕切るとは限らない。物語を支配する人物が舞台を仕切る、そうなるとやはりミスターXは必要だったのだろう。
 ざっくりした作りに見えて、実は深く考えて作られている、そんな舞台だった。
 商業演劇というのはこういうものなのだと、KREVAにも判ってもらえたと思う。ぜひ、この経験を「最高はひとつじゃない」にも生かして貰いたい(本当にな・・・)

 おかげで2公演の予定が、当日券で3公演目を観てしまいました。でももっと観たいなあ。大阪行きたいなー 続きを読む>>