どうなんですか?「エンド・ゲーム」

 恩田陸「常野物語」シリーズの3作目、「エンド・ゲーム」をちょっと前に読みました。
 最近ずっと本を読んでいなくて、もうこうなると本を読むこと自体億劫で読みたいという欲求も無くなってくる(自分だけ?)それでも好きなシリーズなので手にしました。
 
お母さんが、会社の慰安旅行先で眠りについて目を覚まさない。
 昔、お父さんがいなくなる前に残した、冷蔵庫に貼られたままになっていたメモ・・・電話番号が書かれた・・・も無くなっている。
 直感的に感じる、「お母さんは『裏返された』んだ」

 ちょっと変わった<能力>を持った常野一族が主人公のこのシリーズ。
 <裏返す>のもそのうちの一つなのだけれど、具体的にどんな能力なのかどうやるのか説明が足りない・・・というか、裏返そうとする相手も敵なのか何なのかわかんない。悪の組織が出てくる訳でも、未確認生命体みたいなのが出てくる訳でもない。
 そもそも、アクションが出てくる訳ではない。
 かといって、精神的な戦いでもない。
 それはまあ良いんです。
 そう言う手法はあっていい。実際人間は自分の全てがわかる訳じゃないんだし。
 でも、能力を持っていることで多少悩む気配はあるものの、その辛さがあまり伝わってこない。どれくらい悩んでるのか解らないし、どのくらいの恐怖かもイマイチ解らない。
 だから最終的に、何を書きたいのかな、伝えたいのかなー、って考えないとならない小説でした・・・(勿論何となくは解るけど、成功しているかどうかという点で)
 シリーズ一番最初の「光の帝国」は短編集ですが、様々な<能力>を通して人間の強さとか弱さとか愛おしさが描かれていてホントに良い一冊。泣ける(短編でこの話の触りも書かれている)
 「蒲公英草紙」はちょっとね・・・と思う部分はある物の、まあシリーズとして問題ないかな。
 でも、これはなあ・・・「常野物語」ってよりも「麦の海に沈む果実」とかに近い、ミステリともSFとも空想ともつかない、そんな話です。

 続きは折りたたんでおきますが、恩田陸ファンには先に謝っておきます。別に嫌いじゃないんですよ、実際買って読んでるくらいだし(笑)  続きを読む>>