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第3の舞台。

 昨日、「第三舞台」の「深呼吸する惑星」、千秋楽のライブビューイングを観て来ました(本当の最後ではなく、昼公演だけど)

 ちょっと(かなり?)昔話。
 中学生の時、演劇部でした。
 あの時代の中学の部活の演劇は暗くて、真面目で、面白くもないのが殆どだった(学校内の活動だから当たり前だけど)
 新しい中学生向けの脚本というのは殆ど書かれていないだろうから、今も変わってないかもしれない。
 それでも惹かれる本はいくつかあって、その中でも明るいものをなるべく選んで上演してはいたけれど、一番やりたい台本は上演時間も長く、人数も必要で、憧れるだけだった。
 また、その年代でまともな脚本を書くということはすごく難しいとされ、うちではやってはいけないタブーみたいなものだった。実際、高校レベルでも自作の脚本でぼろぼろの演劇を見せているところも多かった。だからうちの演劇部で創作やっていいのは即興劇までだった(うちの即興劇はストーリーだけ決めて、セリフや動きはその場で各キャストが即興で決める。一時期、部内で超流行って毎日これで遊んでいた)
 そんな中学生が、とある女子高の文化祭で観た演劇は衝撃だった。
 今観たら大したことはないのかもしれないけれど、「第三舞台」に大きく影響を受けたことが判る脚本と演出とダンス。
 しっかりと稽古され、作り込まれた動きに感嘆した。たった数歳しか違わない高校生がこれを作れる。
 その日から誰も言わないけれど、その舞台が自分たちの目標になった。
 だから「第三舞台」に触れたのは彼女たちの劇を通じてだった。

 当時、うちの中学の演劇で歌詞の入った「歌モノ」を音響効果で使うのはタブーだった。歌詞のないBGMだけが正しいものだった。
 また、その頃発表する場と言えば年二回、春の新入生歓迎会と秋の文化発表会(内部だけに披露する文化祭みたいなの)で、それも以前は60分近い作品もOKだったのが、演劇部だけ長時間の発表になるのがよろしくないのか、いつしか発表は30分くらいの長さにするよう求められていた。
 自分たちの好きなものをやりたい、そう思った自分たちは市内の別の学校の演劇部と互いに発表し合う交流会を開くことにし、そこに発表する場を求めた。
 新入生歓迎会から夏休みまでの数か月、例年ならだらだらと遊んでいるような時期に稽古をした。
 一番やりたかった台本。たまたまうちの年代は部員の人数が多くて、ギリギリ役者が足りた。ただし照明まで手が回らず、舞台照明以外は顧問の先生にお願いした。
 そして、脚本に元々付随していたミュージカル調の歌をバッサリ切って、歌モノでダンスを全部で3曲入れた。
 西村さんは配役上踊らなかったけれど、その代り演出がほぼ自分の役回りとなった。
 動きの一つ一つ、タイミング、声の出し方、ダンスの時の腕の高さ、足を振り上げる高さ、ターンのタイミング、視線の方向。
 正式にダンスを習ったことのない中学生が同級生にする要求としては、かなり厳しかったと思う。
 おかげで、交流会での発表は成功だった。相手方の発表は創作劇でぐずぐずだったし、誰も言わなかったけれど「勝った」と全員が思っていたでしょう。

 その後すったもんだがありまして、同じ劇を春の新入生歓迎会で披露したのだけれど、それもまたいい思い出(気付かれてないだけで、大失敗もしたけど・・・)

 演劇はこうあるべき、と西村さんが思う姿が「第三舞台」にはある。
 小さい劇場ならマイクは使わない。
 ダンスは自分のダンスではなく、指先一本まで揃え調和を保つことを良しとする。
 裏方はあくまでも裏に徹し、絶対に客の目には触れない。
 舞台転換は静かに早く。

 それらは全部あの頃身に付いたもので、それ故に舞台を観る時にはただ楽しむことが出来ない。立稽古が始まると、仕上がりに近くなっても、毎回どこか一つでもダメ出しを求められたように、今でも同じ目線で観てしまう。
 それでも「第三舞台」は素人がダメ出しを出来ないくらいに仕上げて来ていて、これがプロの仕事であり、それ故安心して楽しめた。自分たちがあの頃憧れた本物なんだと思うと、スクリーンを通したライブビューイングでも観ていて本当に幸せな気持ちになった。
 演劇とは、知力、体力を必要とし、さらに想像力をも必要とする。舞台を作り上げるあの喜びは、他の何物とも違う高揚感があるが、今回、観ているだけでそれを思い出させてくれた。

 キャストとスタッフが作る第一舞台、客席の第二舞台。先週生で観た時、第一と第二が共有する幻の第三舞台が、そこに本当に存在していると感じた。
 これで「第三舞台」としての公演は終了したわけだけど、この先も個々の活動は続いていくだろうし、いつかまたメンバーが集って公演や仕事をすることもあるでしょう。その時、今まで培ったものを忘れずに生かしていけるとしたら、ファンは永遠にファンであり続けられると思う。
 そしてきっといつまでも、幻の第三舞台を忘れないでしょう。

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だって読めないもん・・・ごめんね。

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