西村さんの独り言

　映画「容疑者 室井慎次」を観て来た。
　行く前に電機屋に寄ったらつい長居してしまい、本編が始まるのとほぼ同時で劇場に到着。危ない危ない。チケットは取ってあったから良い席だったけどさ。

　「踊る大捜査線」のスピンオフ第２弾。前作「交渉人 真下正義」は犯人との知恵比べでパニック物だったけれど、これは殺人事件の捜査のやり方に問題があったのでは？という所から指揮官だった室井さんが拘留されて展開していく人間関係重視物。
　シリーズ物になるとつい同じような雰囲気になりがちだけど、がらっと変わっていてそういうところは上手いと思う。
　ただ、話自体はずいぶん荒い。人の思いをメインに据えたつもりなのだろうけれど、室井さんや弁護士の小原さん（田中麗奈ちゃんが演じている。可愛い）の過去を描くにしてはあっさり流しすぎ。それぞれそんなに軽い問題じゃないから、早い段階で過去は明かしておいて、映画のラストに消化させた方が良かったんじゃないかな・・・
　それと少し人間関係が複雑すぎ。警察機構の権力争いとか良く判らん権力者の爺さんとか説明なしに出て来て、「誰？」とか思ってしまう（解らないのは自分の頭が悪いせいかもしれんが・・・）
みどころ１
　八嶋智人さん演じる弁護士、灰島が出てきた辺りから「ムキー！」となる西村さん・・・だって、だって、ムカつくんだもん！
　法を逆手にとって主人公達を追いつめていくんだけど、観ながら「言い返したい、言い返したいよー！」と思ってしまう。きっと一人で観てたら叫んでしまうよ、これは。
　それにしても、八嶋さんはやな奴演じるの上手いなあ。

みどころ２
　麗奈ちゃん・・・ではなくて小原さんが、報道陣に囲まれた後、昔を思い出して怯えた表情と仕草をするところ。本当に辛そう。こういう辛さを我慢しつつ、それでも出てしまう、という演技が出来る女優はなかなかいない。
　そして、「警察が嫌い！」と叫ぶところ。無表情から一変、キッと睨み付ける表情の移り変わり。
　マスコミやなんかには失礼な事も言われているようだけれど、やっぱり麗奈ちゃんは良い女優だと思う。

みどころ３
　ラストの自供の場面がむかっとします。何だこいつー！こんな奴のために！！と。
　しかし、同じ事を叫んでいた工藤刑事（＠相川翔）の言葉にスッキリしました。ハッキリ言わないキャラクター達の中で、言いたいことを言ってくれるのでかゆいところに手が届く。

　まー、前作の方が世間ウケは良いと思う。こっちはシリーズ知らないと楽しめないかも。
　だけど、単純に原作付きで、人気のある俳優や女優を起用し、主題歌を今時の歌手に歌わせたような日本映画（の悪い典型）よりは、見るに耐えると思います。